最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)26号 判決
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〔要旨〕罹災建物の賃借人がその敷地を罹災都市借地借家臨時処理法施行前一時使用の目的で賃借した場合でも、同法施行後その第二条による賃借の申出をしない限り同条所定の借地権を取得することはできない。
〔説明〕本件は、罹災建物の賃借人が罹災都市借地借家臨時処理法施行前にその敷地を、所有者が後日本建築をするまでという約定で賃借し、その上に一〇坪余の店舖用住宅を建設していたが、所有者から本建築をするからということで建物収去土地明渡の請求を受けた事案である。本件では、賃貸借が一時使用のためのものかについても問題がないわけではないけれども、上告審で問題とされたのは、かかる一時賃貸借を結んでいる場合は、罹災都市借地借家臨時処理法第二条による賃借の申出が默示的になされていると認め、特に同条による賃借の申出をするまでもなく同条所定の借地権を取得するといえないかということである。罹災跡地を賃借した場合は、通常借地法の適用を受けるから特に処理法二条の適用を認める必要はない。しかし一時使用の賃貸借の場合はこれに反して借地法の保護を受けえないから、同条による保護を求めることができなければならない。このことは、戦時罹災土地物件令第四条第一項が、建物滅失当時の借家人に敷地使用権を与え、処理法二九条、三二条がその使用権の存続期間を定め、さらに使用権者に同法二条による借地申出権を与えた趣旨からいつて均衡上当然のことゝ思われる。
ただ処理法施行前に一時使用の賃貸借をしたのは、処理法二条による借地の申出権がまだ認められなかつたゝめであつて、借地人側には当然通常の借地権取得の希望があり、処理法施行後法定期間内に改めて借地の申出をしなかつたのも、一応一時賃貸借が存在していたからであることに思いを致せば、一時賃貸借の契約をしたという事実に、処理法による借地の申出をしたという効果を付していゝのではないかと考えられないことはない。本件の上告理由はこの見解に立ち、本件一時賃貸借の事実により默示による借地の申出があつたものと認むべきだと主張したが、その主張は判旨の如く容れられなかつた。